佐々木香織さんのSTORY 合計6度のがん発覚・再発・転移。すべての経験を、仲間の笑顔に変える

「いま」がどこかへ行ってしまわないように
以前、息子たちに「私に何歳くらいまで生きていてほしい?」と聞いたことがあります。答えは「自分の子どもが高校生になるときくらいまで」でした。いま、息子たちは2人とも大学生。孫ができる日も近いかもしれません。それに、すごく元気な私の両親のことも考えたら、77歳くらいまで生きるのが1つの目標です。
ただ、大切なのは「いま、この瞬間」です。もともと私は、やりたいことは先延ばしにせず、すぐに実行する性格です。何もしない時間は大嫌い。
自分はまだ元気だと思えても、手術する度に確実に身体は変わっています。「この先、できなくなることがあるかもしれない」と考えると、チャンスは逃がしたくありません。落ち込んでいる時間はもったいない。予定のない日を作ることももったいない。
最近は、旅行の回数がすごく増えました。1週間のスケジュールを見て、空いている日があれば温泉に行く予定を入れる。普通はそんなことしませんよね。でも、予定を詰め込んでいなければ、大事な時間がどこかへ行ってしまうように感じるんです。
1度目の肺転移のときは、子どもの年齢も考えて5年生存率を意識していました。直近の治療から考えるとまだまだ5年は遠いですが、がん患者になってからであれば、今年で6年です。もう先も見ないし、後ろも振り返りません。
主治医にも、「身体の中にがんがあると自覚して行動するように」と釘を刺されています。もちろん常に自分に言い聞かせていますが、がんがあっても私の生き方は変わらない。それでいいんです。