池田和泉さんのSTORY 「今日も、生きてるじゃん」。「不安」を「覚悟」に変えた一歩
父は施設に入り、そろそろ看取り。夫は障害を抱え、常に介護が必要。そんな状態で、自分ががんになったら――。人生で感じたことがないほどに、巨大な不安。そのときの私は、現実を受け止めることができませんでした。
でも、手術から5年。経過観察が続き、いまでは毎日に小さな幸せをたくさん感じられるようになりました。自分が歩んできた線路の前にたまたま現れた、がんという障害物。進む道が少し変わってしまったけれど、その先にはたくさんの切り替えポイントがあります。現実に目を背けるのではなく、一歩踏み出すことで、新しい道が見えてきます。
「大きな病気をしたんだから、これからはやりたいことをやっちゃえ」。それは、いまだから言えることです。誰でも、時間をかけて、病気を受け入れるしかないのでしょう。その苦しみのなかで、私の経験が誰かの助けになるのであれば。