西舘 澄人さんのSTORY 「死ぬ時にゼロになるくらいでいいや。」大病きっかけで変わった人生観

からだの声を聞く
退院して3か月ぐらいはリハビリに通っていました。月に2回ぐらいかな。入院中と同じような感じで、どのぐらいからだに負荷をかけていいか確認しながら、歩いたり自転車をこいだりしました。いまは、教えてもらったことをもとに運動を続けています。ウォーキングに時々ジョギングをまぜてみたり、立ち止まって腰をぐーっと落として足を出したり、そういう運動をしています。近所に「筋トレコース」みたいな用具を設置した公園があるので、そこをまわってみたりもしています。あとは、起伏のある河原道を歩くだけでも結構いい運動になりますよ。
私の場合は、朝の動き出し5分ぐらいにぐっと苦しくなります。心筋って一度壊死してしまうと再生しないんですね。いまはもう心臓の半分くらいは動いてないので、アイドリングに時間がかかるんです。うちを出て、ある程度の速度で歩き出して5分ぐらい。ちょうどイベントホールに差しかかる時で、そこを過ぎた頃にはおさまる感じです。苦しくなったら少しスピードを落とし、深呼吸ぎみの呼吸にしながらゆっくり歩くようにしています。親しい人には伝えているので、患者会活動で地方出張した時なんかは、「ちょっとごめん」というと、みんな「ああ」と待ってくれますね。私の毎朝のルーティンになっています。それを超えちゃうと、変な話マラソンしようが、どんなに大変な動きをしても大丈夫なんです。
薬は6~7種類飲んでいます。血液をさらさらにするとか、心臓の働きを良くするとか。先生からは「もう一生飲むからね」と言われています。
あと、退院する時に塩分コントロールをよく言われましたね。ただ、自分で考えて作るのは難しいなと思ったので、いまは塩分コントロールしてある冷食のおかずを主に利用しています。月に1回か、2回、自分で作る時は生協のお料理セットを使っています。冷凍なので筋っぽくなるのはありますが、おいしいですよ。外で食べる時はあんまり気にしないようにしてますけどね。患者会の仲間だとみなさんがん患者さんですから、そもそも塩分を控えていらっしゃいます。塩分の少ないメニューであったり、お寿司にお醤油を使わなかったり、「こういう風にしたほうがいい」とか、私のほうが教えてもらうことも多いです。
運動や食事のほかには、すごく楽な服装をするように心がけています。福祉用具の相談員って、かっちりした格好しないといけないんですね。ベッド運ぶのにスーツ着てたりするんですよ。前からあんまり好きじゃなかったのもありますが、いまは伸びるような素材のスラックスとか、からだに負担をかけないよう工夫しています。
やっぱりもう無理がきてたんですよね。忙しさはずっと変わらない、そのなかであんまり気にしなくなってきてたんだと思います。外食がどんどん増えて、運動もしない、お酒も結構飲む。そのまま続けていったらどこまで行っちゃっていたかわかんないし、もっと大変な事態になっていたかもしれないですよね。入院してみて、そういうところを見直すきっかけになりました。そういう意味では「運が良かったのかな」というふうに思ったりもしています。