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西舘 澄人さんのSTORY 「死ぬ時にゼロになるくらいでいいや。」大病きっかけで変わった人生観

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自分のために買ったベースとギター

患者会活動にシフトしようという考えもあって、仕事は早期退職しました。それからはもうやりたいことをやってます。仕事しながら患者会活動していると制約がいろいろありましたが、いまは「これに参加したい」「ここで勉強したい」と思うところに行けるようになりました。患者会活動をはじめてから20年くらい、趣味らしいことも全部やめていたんですけど、仕事をやめて時間に少し余裕ができたので、「やりたいことをやろうかなぁ」と思っています。
患者会活動していてもみなさん趣味を持っていて、いろいろやられているのを見て「いいな」とずっと思っていたんです。バイク乗ったり、マラソン出たり、みなさんいろいろ楽しまれています。私は肉腫の患者会をやっているんですけど、そこの患者さんたちはバンドをやっているんですね。私も昔ちょっとやってたので、「いいな」みたいに話したら、「一緒にやりましょう」と言ってもらえました。それで、30年ぶりぐらいに思い切ってベースとギターを買いました。バンドではベースを弾いてるんですけど、ギターも好きでやってたので両方買ってしまいました。ベーシストにとっては有名なメーカーのものです。重低音、響きというか、ぐーんと伸びる感じがあっていいんですよ。素人に毛が生えた私のレベルで言ったら、ちょっと背伸びな選択をしたかなという感じもします。でも、息子が成人して、これからの自分の人生を考えると必要経費だなって気がしています。

あと、入院中からアニメを見るようになりました。動画配信で暇つぶしのつもりで見てみたら意外と熱中して見ちゃいました。新しく出てきたアニメの中でもマイナーなやつで、自分に合うものを見つけては見ています。アニメにはまるとは自分でも意外でしたね。自宅のキッチンにはアニメ専用のタブレットを置いています。料理している1時間くらいタブレットをつけたり、いまでは生活のなかの楽しみのひとつになっています。

いい年になって、大きな病気もして、いつ死ぬかわかんないところも出てきました。なので、自分自身で勝手に我慢するようなことをやめたというか、しなくなりましたね。例えば「このシャツ、まだ着られるからこれでいいじゃん」とか思っていても、欲しいシャツがあったら「買っちゃおうか」みたいに。それを我慢しなくてもいいかなと思っています。これまでは我慢していたけれど、いまの自分には必要なこと。そういう風に捉えられるようになりました。
住むところがあって、最低限の着るもの、食べるものがある。それで十分。。だから、貯蓄とか、財産残そうとか、あんまり考えていなくて、「死ぬ時にゼロになるぐらいでいいや」くらいの感じで捉えています。

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