佐藤 陽子さん(仮名)のSTORY 知って欲しい、高次脳機能障害のこと。当たり前ではない今日を大切に生きる。

筋トレで終わったリハビリ病院
麻痺の回復のために行ったつもりのリハビリ病院でしたが、整形の病院から来た大腿骨骨折などのお年寄りの患者さんが多くて、脳疾患の患者さんは本当に少ない病院でした。リハビリは筋トレ一択。マシンも自転車とトレッドミルしかなくて、しかもトレッドミルは危ないから使っちゃいけないと。料理や家事の練習をするわけでもなく、ひたすら重りをつけて歩くとか、そんなリハビリばかりでした。家に帰る筋力・体力だけつけましょうという形だったので、だったら家に帰れば良かったと思いました。
実は病棟内で迷子になってしまうこともあったんです。院外歩行の練習でも全然道がわからない。療法士の方には「方向音痴ですね」と言われたんですけど、今思うと、それも高次脳機能障害の影響だったんだなって思います。退院直前に病院の最寄り駅まで10分ほど歩く練習をやりましたが、それも歩けるかどうかのチェックだけ。例えば券売機を操作してみるとか、もっと気をつけて細かく見てくれていれば、早くから色々な問題に気付くことができたかもしれないと残念です。