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佐藤 陽子さん(仮名)のSTORY 知って欲しい、高次脳機能障害のこと。当たり前ではない今日を大切に生きる。

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環境を調整するという学び

自費のリハビリの先生は、もうカウンセラーみたいな感じです。家族で旅行に行くっていう時も旅程を確認してもらって、「ご主人と娘さんはこっち行っていいですけど、陽子さんはホテルで脳を休める時間にしてください」とか。暮らしのなかでどういう風に刺激をコントロールするか、生活すべてを見てもらっています。仕事に復帰するタイミングも「いまはちょっと忙しいからやめておきましょう」とか、先生に意見を伺いながら進めました。

高次脳機能障害とわかってからは、自分でもいろんな工夫をしています。料理している時には話しかけないようにしてもらう、テレビや音楽は消してもらう、そういう単純なことから始まりましたね。音については、音量調整ができる耳栓を使っています。私は左手にも巧緻運動障害があったようで、よくあるウレタンのものは自分で耳に入れることができませんでした。イヤホン専門店に行ったら、持ち手付きで何デシベル落とせるみたいな耳栓を見つけることが出来ました。それを使うことで音の刺激を抑えることができました。デパートに行くにしても雑踏だとダメなので、商品もありつつ、静かな環境で買い物できる場所を選ぶようにしています。
物忘れに関しては、最初ホワイトボードにメモしていたんですが。そもそも、見るのを忘れてしまうんです。それよりも私が活用しているのはスマートスピーカーです。7時・12時・19時と設定しておくと、その時間に「服薬」って教えてくれるんですね。携帯の服薬アプリと併用することで、薬の飲み忘れはなんとかなくなりました。

能力が向上したというよりも、「どうやったらできるか」という環境調整ができるようになったことで、少しずつできることも増えていきました。前はちょっと何かのイベントに行ったら脳疲労で1週間寝たきりになるようなことも多々ありました。それが、この春には好きだったテーマパークにも行けたんです。事前にお店を予約したり、ホテルのラウンジを予約したり、疲れたらすぐ脳を休められるようにして。脳疲労を回復するために甘いものを持って歩くとかも、小さなことだけど、大切だったりします。

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