榊原由佳さんのSTORY 「私」が納得できるまで。一つひとつの選択が”いま”へとつなぐ

「どうせ良性でしょ」と思っていた
これまで、両親も祖父母も親戚も、家族でがんになった人は誰もいません。自分がまさかがんになるなんて、まったく思っていませんでした。
がんが見つかったのは、会社の健診がきっかけです。女性系疾患の健診は自費で受けるものでしたが、その年はたまたま無料で受けられるとのことで、乳がんの検査をしてもらったんです。
数日後、派遣会社の担当の方から、すぐに病院に電話するようにと伝えられました。「なんで?」と疑問に思いつつも病院に連絡したら、「乳がん検診で引っかかりました」と言います。それでも、「何かの間違いだろう」としか考えていませんでした。「検診で引っかかっても、がんではなかった」という話もよく聞きます。私もたぶんそうだろうと思っていました。
病院からは、「検査結果のCD-ROMを渡すから、どこか別の病院で精密検査を受けるように」と言われました。その日の夕方にひとまずCD-ROMを受け取りましたが、詳しい検査をどこで受ければいいのか、特に教えてもらえない。自分で探すとしても、まったく見当がつきません。知人たちに相談しても、わからないと言う人ばかり。最終的に、毎年乳がんの検査を受けている友人に、おすすめのクリニックを教えてもらいました。
後日、クリニックで触診とエコー検査を受けました。その後の診察ですぐにいわれたんです。「あなた、しっかりしてるからはっきり言うわね。悪性腫瘍よ」って。リンパにも転移しているから間違いない、ということでした。
でも、まだ詳しい検査を受ける前です。「いやー、先生、良性の可能性もあるでしょ」と真剣に受け止めませんでした。その日の帰り道、駅前のデパートで店員さんに「今日、がん宣告を受けたんです」とネタにしていたほどです。