谷田孝子さんのSTORY 10年後の卒業証書。病気を通して知った、過去の自分、本当の自分
「カツラが落ちないように、僕が押さえておくから」。遊園地の遊具の中、抗がん剤の副作用で髪の毛の抜けた自分を気遣う息子。「家族にはとても支えられた。でも、甘えることはできなかった」。42歳で乳がんが発覚した谷田孝子さんは、そう言います。
周囲の目ばかりを気にして育ってきた自分。やりたいことも、好きなこともなかった自分。そんな自分が、がんの辛さや不安にも蓋をします。「私は大丈夫」「私がしっかりしなくちゃ」――。そこから本当の自分を受け入れるまでには、長い時間がかかりました。ありのままでいい、できない自分でいい。病気との戦いと、自分との対話が重なった10年。