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野中美紀さんのSTORY もしも娘が自分と同じ病気になったら。「いのちを優先した選択」のできる文化をつくる

起業時に固めた「継続する覚悟」

当社のウィッグは人毛100%で、低価格。それを美容師さんが切ってくれる。サービスを提供する上で、この3つは外せません。
化繊(人工毛)であれば形状記憶でつくれますが、人毛は癖がついてしまい、加工に手間がかかります。そのため、人毛のウィッグは市場価格がものすごく高い。まずはここを解決したいと思いました。生産は、中国の工場と直取引をしています。それから当社はウィッグ専門のサロンを持っているわけではないので、固定費はかかりません。
サービスを続けていくことができているのは、美容師さんの協力のお陰です。美容師さんにとってみれば、ウィッグを切るより売ったほうが利益は高くなるんですね。そうではなく、自分の持つ美容師としての技術が、人を助けることにつながる。万が一自分のお店のお客様が困ったときにも、助けることができる。モノ売りではなく、社会貢献のために技術やサービスを提供する。そんな想いに賛同していただける美容師さんを紹介してもらい、いまは25店舗に広がっています。今後は47都道府県すべてに展開したいと考えています。
ビジネスとして考えたときに、単価を高くして利益を取ることはできます。でも、それでは文化はつくれません。一方で、文化をつくるためには継続が必要です。私たちの事業は、NPOなどではなく、株式会社として立ち上げました。これは、私にとっての継続する覚悟です。最低限の利益で利用しやすいサービスをつくり、ビジネスとして継続していく。そこから文化をつくることができると考えています。
髪の毛が抜けてもウィッグは当社のものがあるし、いったん抜けてもまた生えてきます。胸も再建手術がありますし、私なんて元の胸より重力に負けず綺麗です。「生きるため」という軸からブレずに、最短距離を走ってほしい。そして目先の苦しみではなく、5年後、10年後に目線を変えて、楽しくイメージしてもらいたいと思います。

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