野中美紀さんのSTORY もしも娘が自分と同じ病気になったら。「いのちを優先した選択」のできる文化をつくる
遺伝的に、乳がんや卵巣がんになる可能性が非常に高い――。自分の体の特性を知ったときに感じた恐怖は、やはり乳がんを連れてきた。最も悩んだのは、女性としての見た目が変わること。「髪の毛が抜けるから、抗がん剤は嫌だ」「胸を残して手術することはできないか」。「嫌だ、嫌だ」が先に立ち、病気に向き合うことができない。
捉え方が変わったきっかけは、パートナーの「未来にあなたがいることが大事」という言葉。視点を変えれば、見えるものが変わる、あれだけ悩んだ髪の毛の問題にも、解決策が用意されていた。
自分の持つ特性は、娘にも遺伝する可能性が高い。もし娘が同じ病気になったら、しっかりとケアできる世の中であってほしい。目先の恐怖や辛さばかりに目を向けるのではなく、未来に視点を向け、生きるための選択を優先できる世の中をつくる。