千田律仁さんのSTORY 「もう一度だけ、チャンスをください」大切なことに気付いた“人生のやり直し”

残りの人生は「人の出会いをつくる」時間
術後しばらくは毎月検査を受けて、しばらくすると半年に1回になり、5年経った頃に「もう来なくていいよ」と言われました。今年でちょうど20年。いまも私が生きていられるのは、あのとき何となくですが、気になったので検査に行ったことと、自分の生き方を見直すことでなんとか神様から生かされていると思っています。
死に直面し、これからどう生きるかを真剣に考えさせられました。病気になっていなかったら、ずっと好き勝手に生きていたでしょう。がんになって、生き方を修正させてもらえたから、いまの私があります。
私は今年で56歳。そろそろ人生も終盤戦です。残された時間は、これまで以上に、悔いのないように過ごしたい。自分の体力を考えて、70までは頑張りたいと思っています。
あと14年と考えるとそんなに長くはありませんが、人の死はいずれ、誰にでも訪れるものです。ですから、どれだけ長く生きたかより、与えられた時間をどう生きるかのほうが大切です。自分の時間をどう使うか、誰とその時間を過ごすのか。目的意識を持って、自分の役目を全うしたいと思います。
これまでの人生では、仕事柄もあり、さまざまな方との出会いに恵まれてきました。専門分野に精通した方たちから、日々学ばせていただき、また、相談もできました。人が困ること の多くは、「知らない」ということに起因しています。ですから、専門家に学び、相談できる環境があれば、困っている人の役に立てるかもしれない。私の「役目」はこれだと思いました。
そこで以前からの保険業を続けつつ、2021年から会社経営を始めました。弁護士や医師、税理士など、幅広い分野の専門家の講義を一般に提供する「総合オンラインアカデミー」というサービスを手がけています。
生きることは、自己を成長させ、人のお役に立つことです。学びや相談を通して、「あなたに出会えて本当によかった」と言ってもらえる人生にしたい。そして、そんな出会いがたくさん生まれる環境を作りたい。これがいまの私の夢です。