後藤昌之さんのSTORY 「諦める」のではなく「手放す」。ご機嫌に生きるための選択
人生の目的や生き方の方針を変えた出来事
ぜんそくを患った頃は、広告代理店でディレクターをやっていました。ちょうどインターネットが一般家庭に普及し始めた頃で、デジタル領域にチャンスがあると感じていました。会社としてもそうした事業に取り組んでいくべきだと考えましたが、なかなか思うように進んでいきません。それなら自分が出世して、やりたい仕事をやろう。ぜんそくになったのは、そんなことを考えていたときでした。
当時は、気管支を広げて呼吸を楽にする気管支拡張剤での治療が一般的でした。症状が出るたびに吸入していましたが、あまりよくはなりません。最新の治療薬だった吸入ステロイドも試しましたが、やっぱり改善されません。働き盛りの年齢なのに体調は悪くなるばかりで、不安感がつのっていきました。
それでもしばらくは従来通りに働けていましたが、あるとき風邪をひいて、階段も上れないほどにしんどくなりました。ぜんそくにしても、これはさすがにおかしい。不安になってかかりつけの病院で検査をしてもらうと、「心臓が肥大して、弾力性がなくなっている。健康な人の2割くらいしか機能していない」と言います。
急いで大きな病院を紹介してもらい、受けた診断は「心筋症の疑い」です。本当に心筋症になったら大変ですが、安心感もありました。体調が悪いことの原因と対処法がわかるだけでも、不安は軽くなったんです。
幸い薬が効いて体調はよくなり、「これでまだ働ける」と安心しました。でもやっぱり無理をすると体がつらくなります。お医者さんに相談すると、「後藤さんは無理のできない身体になっているんです」と返ってきました。
頑張って偉くなって、自分のやりたい仕事をする。そうした目標で生きてきたけれど、もうできなくなってしまった。だったら、今後どう生きていくのかを考えなければいけない。そうして、自分のやりたいことをやって生きていこうと決めました。