後藤昌之さんのSTORY 「諦める」のではなく「手放す」。ご機嫌に生きるための選択
キャリアを手放し「やりたいこと」に舵を切る
当面の課題として、まずは働き方を変えなければいけません。とはいえ、キャリアを手放す挫折感や不安感は、あまり感じませんでした。それよりも大切なのは、ご機嫌に生きるにはどうしていけばいいかです。
その頃は、会社のクリエイティブ全般のディレクションをする立場になっていました。管理職を下りて、デジタル系の仕事に注力したい。会社に希望を伝え、雇用形態を正社員から契約社員に切り替えてもらいました。さらに週に1日は自分の好きなことをやるために、週4日勤務です。
ただ、順調にデジタル系の案件が増えていったことで、1年後には週5日勤務に戻りました。するとあるとき、付き合いのあったウェブ系のデザイン会社から、「うちの会社のディレクターになってくれないか」とお誘いを受けたんです
どちらの仕事もやりたかったので、週5日の勤務を2つの会社で分ける提案をしました。ありがたいことに、どちらの会社も承諾してくれました。
そこから体調が大きく悪化することもなく、心筋症の疑いと診断されてから3年くらい経ったとき、心臓の肥大が収まっていることがわかりました。お医者さんは「心筋症じゃなくて心筋炎だったかもね」と言います。明確な説明は受けていませんが、気管支拡張剤は心臓に負担をかけることがあるそうです。頻繁に吸入していた中で風邪をひき、免疫力が下がって心臓への負担が大きくなったのではないかと思います。
心筋症の不安はなくなった。でも、すでに働き方を変えてしまっています。一方で、「じゃあまた出世を目指して頑張ろう」とは思いませんでした。やっぱり、自分の好きなことをやって生きるほうがいい。
その後、デザイン会社での仕事が忙しくなり、2005年には取締役として働くことになりました。元の会社との契約は解消しましたが、外注として仕事を受けています。67歳になった現在も両社の仕事を頑張っていますが、2年前にデザイン会社の取締役は退任。目下、完全な引退に向けて交渉中です。