大島直也さんのSTORY がん患者を助ける立場から当事者に。「社会に足りないもの」を伝えていく
鍼灸師として、日々、患者と接してきた。自分の命の期限を知っている人たちもたくさんいた。彼ら、彼女らの多くが「誰かのため」に時間を使う。そして、「特別なことではない」と言う。これまで通りの生活を丁寧に送ることで、人は最期まで輝いて生きていける。
あるとき、自分自身に告げられたのは「ステージ4」の診断だった。死への恐怖はそれほど感じない。病気を通して実感したのは、「丁寧に生きる」ということの意味。
自分ががんを患ったことで、患者への向き合い方も変化する。目の前の人を理解しようとする姿勢が、相手の苦痛を和らげることもある。それは、社会に足りないことでもあった。患者を助ける立場から当事者になった自分だから伝えることのできる、相手を理解しようとすることの大切さ。