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大島直也さんのSTORY がん患者を助ける立場から当事者に。「社会に足りないもの」を伝えていく

肺がんステージ4、多数の遠隔転移

2023年の8月、私は肺がんのステージ4と診断されました。遠隔転移も進んでいて、現在は両肺、脳、頸部リンパ節、腹膜播種、小腸、大腸、副腎、骨盤に広がっています。
告知の半年くらい前、咳が続いたので新型コロナの検査を受けたのですが、陰性。風邪だろうかと考えていましたが、数カ月経った頃に声がしゃがれて出しづらくなりました。「これはいよいよおかしい」と内科や耳鼻咽喉科に行きましたが、そこでも原因はわかりません。レントゲン検査でも、「肺はきれいだ」と言われました。
嗄声(しゃがれ声など声質に異常がある状態)が起こる疾患を調べて当てはまったのは、甲状腺がんです。リンパ節が硬くなっていたこともあり、いずれにしろ喉の付近の病気だろうと予想していました。
そうこうしているうちに、誤嚥も起こるようになりました。耳鼻咽喉科で内視鏡検査をしたところ、「反回神経麻痺」という診断でした。片方の声帯が正常に動いていないと言います。
すぐに紹介状を書いてもらい、その足で大きな病院に行きました。2日間の検査の結果、「限りなく肺がんが疑われる」と言われ、1週間後に1泊2日の精密検査です。そこから10日後くらいに、肺がんの確定診断が出ました。その頃には、腹痛、胸痛、頭痛がひどく、息切れもありました。後から考えればがんが転移した部位です。
私の場合、ステージ4まで進行しているので手術は適応外です。転移したがんの一部に放射線治療を行ったことはありますが、基本的な治療は分子標的薬だけです。
分子標的薬は、耐性が付いて効かなくなることがあります。その場合は別の薬に変えて、効かなくなったらまた別の薬というように、切り替えていきます。3年、5年と同じ薬を使える人もいますが、私の場合、たった半年で切り替えになってしまいました。このままいけば使える薬がなくなるのではないかと、すごく不安を感じました。
そんなとき、さまざまな分子標的薬を使った後に、また最初の薬に戻ることができた方がいることを知りました。すぐにSNSで連絡を取ってお話を聞いたことで、気持ちを持ち直すことができました。
幸い、現在まで2つ目の分子標的薬が効いています。1つ目の薬では、発疹の副作用が少し出たくらい。2つ目は下痢やふらつき、多少の吐き気がありますが、がんによる症状はほぼなく、普通に生活できています。

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