宮本豊司さんのSTORY がんのことは考えない。 「待ってくれている人」との“つながり”に生きる
自分と同じ病気で亡くなった母
詳しく調べるために、大きな病院でCT検査を受けました。胆のうは、組織を直接取って調べる組織検査はなかなかできないそうです。もしがんだった場合、胆汁が漏れてがん細胞が周囲の臓器に広がってしまうリスクがあるからです。
検査の結果では、がんの可能性はほぼないと言われました。ただ、「これだけ胆のうが大きくなっているから、取ったほうがいい」と医師に勧められて、手術を受けることにしました。腹腔鏡手術という、お腹にいくつか小さい穴を開けて、そこから機械を入れて行う手術です。
手術には3時間くらいかかると言われていました。でも、麻酔から目覚めたとき、そんなに経っていないような気がしたんです。手術が始まったのは10時。看護師さんに時間を聞いたら、まだ11時でした。
「もう終わったの?」と思っていたら、副院長の先生が来て「宮本さん、作戦会議をしましょう」と言います。肝臓と接触している胆のうの部位にがんと思われる腫瘍が見つかったそうです。それで腹腔鏡手術は途中で取りやめに。確定はできないけれど「おそらくがんだ」と言われ、患部をしっかり取るために、2週間後の開腹手術が決まりました。
私は、2023年に母を胆のうがんで亡くしています。母は、病気が見つかったときには、がんがお腹の臓器全体に転移する腹膜播種になっていて、すでにステージ4でした。抗がん剤は身体に合わず、ご飯も食べられない状態で、とても苦しそうでした。亡くなったのは、発覚から1年後です。
再手術が決まったとき、母親のことが頭をよぎりました。胆のうだけでなく、肝臓もがんになっているかもしれない。母のように、もう手遅れかもしれない。極力悪く考えないようにしていましたが、その間がいちばん不安でした。
それに、手術前の説明では、怖いことをたくさん聞かされます。「手術中に胆のうを傷つけたら、がんが全身に広がる可能性があります」「手術がうまくいっても、肝臓から胆汁が漏れるかもしれません」。胆のうの近くのリンパもたくさん摘出するため、難しい手術になるということでした。リスクの説明が必要なのはわかりますが、一層不安になってしまいます。
ただ、家族には、「ちゃんと検査してみたらがんじゃないかもしれないから」と、あまり深刻にならないように伝えていました。妻も不安そうでしたが、「きっと大丈夫」と前向きな言葉をかけてくれ、それが心の支えになりました。