宮本豊司さんのSTORY がんのことは考えない。 「待ってくれている人」との“つながり”に生きる
自分は「5年生存率40%に入るだろう」
開腹手術で、胆のうを全摘出し、肝臓の一部と近くのリンパも12カ所摘出しました。11時間の大手術です。それから1ヶ月後、病理検査の結果でがんだとはっきりわかりました。
肝臓にもがんが広がっているかもしれないと心配していましたが、問題ありませんでした。代わりに、胆のう頸部にがんが見つかり、切除したリンパのうち2カ所にも転移していました。診断はステージ3。再発率が70%で、5年生存率は40%以下です。
医師から、がんを完全には取り切れていない可能性があることや、リンパに転移していたから再発の確率が高いことについて説明を受けました。でも、手術は成功し、がんは取った。そのことに安心して、再発への不安は特にありませんでした。5年生存率40%以下と言われても、自分は「40%に入るだろう」と、根拠のない自信がありました。
手術後、抗がん剤治療が始まりました。TS-1という飲み薬の抗がん剤です。毎日2週間飲んで1週間休むというサイクルを、約5ヶ月間続けました。
副作用で、手足の指が黒くなる色素沈着や、勝手に涙が出る「流涙」の症状はありましたが、気持ち悪くなるようなことはありませんでした。私はもともとスキンヘッドで、髪が抜ける心配もいりません。「もし眉毛がなくなったらちょっと怖い顔になるな」とは思っていましたが、眉毛は抜けずに済みました。
職場には、開腹手術の1ヶ月後に復帰しました。当時は生命保険会社の事務企画の仕事をしていて、毎日19時頃まで残業するほど、普通に仕事をしていました。ただ、周囲は気を遣ってくれていて、どう声をかけたらいいか戸惑っている様子でした。体重が5キロほど落ちたので、「痩せたな」と声をかけられることはありましたね。そうやって病気について聞かれたら、「がんだった」と隠さずに伝えていました。