寺山雅代さんのSTORY もう一度、自分の声で。言い訳しない、嘘をつかない、我慢をしない私で生きる。
再発でやっと「これはまずい」と感じた
歯医者さんの定期健診で、舌の裏側を見た歯科助手さんから「これは大きい病院に行ったほうがいいですよ」と言われたんです。「なんでだろう?」とは思ったけれど、あまり気にもならなくて、紹介先の口腔外科を受診しました。
診断は「白板症」という症状でした。でも痛みはまったくなくて、「大丈夫だろう」と。初診から半年ほどたって「手術をしたほうがいい」と言われても、まだなんの実感もありませんでした。「まあ、手術してみるか」程度の気持ちで、2020年の4月に手術を受けました。
私はシングルマザーで、2人の娘がいます。当時は上の子が高校3年生、下の子が小学6年生です。私の身体は普段通りですし、それほど深刻にもならずに手術のことを話しました。娘たちも「あ、そうなんだ」くらいの反応でした。
手術では舌の約1割を切除しました。切除した組織を病理検査して、舌がんの確定診断が出ても、大きな不安はなかったんです。少しつっぱる感覚はあるけれど、食事や会話にはほとんど支障がありませんでしたから。
それが手術からもうすぐ1年、というところで、「ちょっとおかしいな」と感じるようになりました。舌の動きが鈍くなって、次第にピリピリとした痛みも出てくる。このときに急いで受診すればよかったんですが、ここでも軽く受け流してしまいました。
痛みが出てきたのは年末。年明けに先生に症状を伝えると、「まあ、来月に定期検査があるから、そのときに診ましょう」と言われました。でも、その間にも痛みはどんどん強くなっていくんです。検査予定日まで耐えられず、2週間前倒しして病院に行きました。
先生は口の中を診た瞬間、「すぐに検査をしましょう」と慌てた様子でした。検査が終わって待合室に座っているとき、先生がこちらに走ってくるのが見えて、やっと実感したんです。「うわあ、これはまずいことになってるんだな」って。