寺山雅代さんのSTORY もう一度、自分の声で。言い訳しない、嘘をつかない、我慢をしない私で生きる。
自分の声で自分の人生をつくる
舌がんの再発がわかったとき、勤務していた会社にすぐに相談しました。そこから私が話せなかったこともあり、会社とは手紙でやり取りしていました。落ち着いたら一度あいさつに行こうとも思っていました。
それが、退院して1カ月くらい経ったとき、突然、手紙が届きました。そこには、「コロナ禍で経営も厳しいので」と書いてありました。和菓子店の接客の仕事だったので、同じようには続けられなくなるかもしれないとは考えていました。でも、接客以外の選択肢はなかったのかなって思います。せめて、直接会ってお話ししたかった。
突然の解雇でいい意味での諦めがつき、約1年仕事はお休みしました。やっぱり話す仕事は難しいので、障害者枠での就労も検討しようと障害者手帳を申請しましたが、却下されました。
気持ちを切り替えて就職活動をして、ありがたいことに契約社員として内定をいただきました。2年ほど働いたタイミングで、正社員登用のお話もいただきました。ただ、その正社員登用の面接で私が舌がんの話をしたら、人事担当の方が「がんになったら、5年も通院しないといけないんですね」と言ったんです。
人を雇う立場の人が、そんなことも知らないのか。もっと社会に、「がん」というものを知ってもらわないとダメだ。いったん正社員になりましたが、啓発活動をしたいという気持ちが強くなって、退職を選びました。
生活のために最低限働いて、休日はがんに関わる活動を始めました。経験談をお話ししたり、患者会に参加したりするうちに、お声がけいただく機会も増えていきました。そうして今年(2026年)の2月に寛解を迎えたことをきっかけに、新しく始めた活動があります。
舌がんの患者さんが悩みや体験を共有できる場所をつくるために始めたのが、舌がん経験者のコミュニティ「ボイスパレット」です。
ボイスは自分の声、パレットは自分の人生。いろいろな声があって、いろいろな生き方があっていい。舌がんになると、話すことをあきらめちゃう人もいるけれど、自分の声で、自分の人生を創造していこう。そうした思いを込めています。