寺山雅代さんのSTORY もう一度、自分の声で。言い訳しない、嘘をつかない、我慢をしない私で生きる。
自分の“ど真ん中”で生きていたい
私が離婚したのは、10年ほど前です。それからずっとシングルマザーでやってきて、フルタイムの仕事と4つのアルバイトを掛け持ちして、睡眠時間は3時間という時期もありました。舌がんの再発がわかったときも、とにかく私自身が生きて、子供たちの生活を守ることに必死でした。
それから、寛解を迎えたいま、大きく変わっています。
2カ月の長い入院期間の中で、退院するたくさんの人たちを見ました。パートナーが迎えに来てくれて、一緒に病室を去っていく人たちもいます。舌がんになる前は、パートナーはもういらないと思っていました。でも、自分の身体が動かなくなる体験をして、一緒にいてくれる人がいたらいいなと思うようになったんです。
それで、ある程度身体が回復してから、マッチングアプリで婚活を始めました。人に会って話すことが、なによりのリハビリになりました。ご縁があり、パートナーと出会いました。
いまは、がんになる前ほど、がんばらなくていい。精神的にも、経済的にも支えてもらえる環境になっています。
もちろん、まったく心折れずにここまで来られたわけではありません。話せるようになることをあきらめようと思ったことも、何回もあります。それでも前を向くことができたのは、出会った人たちのおかげです。
ある人からは、「自分に言い訳しない! 自分に嘘つかない! 自分に我慢しない!」というお話を聞きました。
いまはこの言葉を「自分を生きる3箇条」にしています。
入院中、ずっとベッドの上にいたときに、綺麗な海が見たいなと思いました。せっかく無事に手術が終わって生きていられるんだから、今まで行ったことのない場所に行きたい。
綺麗な海と言えば、沖縄です。退院してから実際に沖縄に行ったら、なんで今までこなかったんだろうって感じるくらい、やっぱり綺麗で。そこから沖縄が大好きになりました。
大人になると、自分に言い訳して、我慢し、嘘をつくようになってしまいます。「自分に素直に! 自分のど真ん中で生きて生きよう!」。その大切さを、舌がんを経験して教えてもらいました。