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水戸部ゆうこさんのSTORY 私の命をつなぐ「ミラクル」。「自分の人生を生きる」という選択を支えるもの

みんなが私を生かそうとしてくれる

その後、私は緩和ケア科に全面移行するのかと思っていましたが、なんと、先生が「もうひとつ手段がある」と言い出します。最初に使ったお薬をもう一度試してみると、幸いなことに、また効くようになりました。結局、緩和ケアに通いながら治療も継続し、体力的な厳しさがありながらも、いままでとあまり変わらない生活を続けられています。

治験を離脱したとき、先生に「終末期って、いつからなんですか?」と聞くと、「自分で決めていい」と言われました。それで「自分の終末期はいまからかな」と考えていたのですが、こんなにも終末期が長く続くとは思いませんでした。

誰かのお声かけで予定ができると、そこに気力・体力を調整して、成し遂げる。そんなことを繰り返しながら、生きられるところまで生き続けるのが私のスタイルなんでしょうね。まずは、10月27日に東京ビッグサイトでがんサロンを開催します。製薬企業や医療関係者の方を呼んで、実際にがん患者同士が話す様子を見ていただく。それに、11月23日には小平市で年に1回の勉強会を行います。これまでに出会った先生にお願いして、講師を務めていただきます。

 

実は、子供たちの卒業式と入学式に参加している時点でも、次のイベントを予定していました。私は「しあわせのぼうしRinco」というブランドをプロデュースしています。抗がん剤の副作用による見た目の変化で鏡を見るのも嫌になった経験から、髪が抜けてしまっても、おしゃれをして出かけたくなるような帽子があればいいなと思って始めたものです。

このブランドは、帽子作家の前田則子さんと、吉田帽子という会社の吉田香里さんとの共同で運営しています。前田さんは熊本のご自宅でお店を開いていて、そこで開く展示会に誘われました。開催されるのは2023年4月。「なんとか卒業式と入学式に」と言っている状態なのに、不思議なもので、「絶対に熊本へ行ける」と信じてチケットを取りました。

 

私はSNSで、よく「ミラクル」という言葉を使います。私の人生は奇跡の出会いの連続。西口さんがいなかったら、脊尾さんにも出会えていない。若くして亡くなった友人にも出会えてない。友人に出会えていなかったら、私はがんサロンをやっていないはずです。

主治医の先生との出会いもミラクルです。2020年に聞いた、5年生存率36%という数字。今年のデータを見ると、当時の私は10%に該当するようです。当時から先生はわかっていたけれど、私が36%を指したから、スタッフの方にそう言うように伝えたのだと思います。10%だと完全に絶望してしまいそうですが、3分の1なら希望を持てますよね。

私が治療をやめる決断をしたとき、先生は「僕は水戸部さんより水戸部さんのことを考えていると思う」と言ってくれました。私だけではなく、家族のことも含めて考えてくれているんだと思います。

 

自分ががんになって初めて、「たくさんの人に支えられながら生きているんだ」ということがわかりました。そして、諦めずに何かを探せば、ご縁が繋がり、新しい自分の道が開けていく。本当にミラクルの連続なんです。周りのみんなが私を支え、応援し、生かそうとしてくれる。その応援があって、私もまたがんで困っている人に寄り添えます。自分の経験を、ピアサポートに活かせるんです。

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