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水戸部ゆうこさんのSTORY 私の命をつなぐ「ミラクル」。「自分の人生を生きる」という選択を支えるもの

自分を導いてくれた人を追いかけて

私の現在の仕事、それにがんサロン立ち上げのきっかけになった友人との出会いは、キャンサーペアレンツを通して生まれました。この団体を創設したのは、西口洋平さんという方です。35歳のときにステージ4のがんと告知され、周囲に同年代のがん患者がいなかった。孤独を感じながら闘病しているのは自分だけではないはずだと考えて、団体を立ち上げたそうです。

2019年に、キャンサーペアレンツのオフ会で西口さんにお会いしました。爪がボロボロになった手を椅子にかけながら、やっと立っている。「今朝、3回吐いてからここに来ました」と話し始めますが、その力強い話にみんなが希望を感じました。おしゃべりも上手で、とにかく大きな存在感を持つ方でした。

その後、2020年5月に西口さんが亡くなりました。オンラインのお別れ会の時、私は治験のために入院中で、病院から参加しました。多くの方が西口さんを慕って、集まっていました。彼は私にとって、いや、多くのがん患者やその家族の人たちにとって、いまでも希望の星です。

キャンサーベアレンツのホームページには、西口さんのお写真と共に、生前に書かれたこんな言葉が載っています。

 

「週に一度の通院による抗がん剤治療を続けながら、会社ではたらきながら、キャンサーペアレンツの活動を平行して進めています。いつどうなるかわからない状況の中、最後の仕事と位置づけて取り組んでいます」

 

私は、結局この言葉を追っかけているのだと思います。自分を導いてくれた人の真似をしながら、周りの人に何とか手を差し伸べられないかと活動を続けています。

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