{@ member.last_name @} {@ member.first_name @}

水戸部ゆうこさんのSTORY 私の命をつなぐ「ミラクル」。「自分の人生を生きる」という選択を支えるもの

助けを求められずに亡くなった友人

以前、ある人に「幸せそうなのに……(どうしてがんになったの?)」と言われたことがあります。とてもインパクトがありました。精神面が原因でがんになると思っている人がいるわけです。親しい友人にLINEで病気のことを伝えたときには、3日間レスがありませんでした。きっとがんについての知識がなかったから、返信しようがなかったのだと思います。子供の保護者会で役員を決めるときに「私はがんなので、元気な方にやってもらえないでしょうか」と言ったら、顔を伏せた状態での多数決になりました。

 

日本はこんなにがん人口が多いのに、がんのことを知らない人が多すぎる。社会の仕組みも、がん患者に対して十分だとは言えません。

キャンサーペアレンツを通して出会った友人がいます。彼女には未就学のお子さんが2人いました。お母さんとして忙しい上に闘病しているのに、周囲に助けを求められない。「変に受け止められてしまうから、人にあんまり伝えられていないんだ」と言います。しかも彼女は39歳以下で、介護保険制度の対象にならず、在宅支援制度も受けられません。そうやって助けを求めることもできないまま、亡くなっていったんです。

あまりにも孤独。「この社会をどうにかしなければ」と考えて、2022年の2月に「CancerおしゃべりCafé」というがんサロンを立ち上げました。がん患者同士のおしゃべりだけではなく、そのご家族を含めた支え合いを目的にしています。

 

ほかにも、SNSでの情報発信を続けるなかで、さまざまなつながりが生まれています。YouTuberの方に呼んでもらって病気のことを話したり、医学生や製薬企業、学会やイベントなどで登壇させていただいたりしています。地元の小平市でもいろいろな人との縁ができて、自治体に向けてがん対策を要望するようになりました。

がん患者同士で弱音を吐き合っているだけでは、何も進歩しません。子宮を適出して一生子供を授かることができない人もいれば、年金生活で闘病している方もいる。そうした現実をみんなが知ることから、社会の変化が始まるのだと思います。

次のページは:自分を導いてくれた人を追いかけて