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水戸部ゆうこさんのSTORY 私の命をつなぐ「ミラクル」。「自分の人生を生きる」という選択を支えるもの

私の終末期は私が決める

私は、自分の終末期を、治験を止めたときから始まったと思っています。正しい終末期の定義は、「がんが治らないことを医師から知らされ、残された時間が短くなった患者さんと家族が向き合う時期」とされていますが、私は診察当初から、治らないことを伝えられていますし、延命のための治療と聞いています。
実際に自分が終末期だと意識したのは、2023年の治験で副作用が酷く、治験参加を止めた頃でした。しかし、いつの間にか時は過ぎ、今年の10月と11月には、絶対に外せないイベントがあります。そこを乗り越えれば心残りはありません。でも、子供のことは気になるかな。
病気になった当初、病院では余命告知をされませんでした。自分から聞くこともできなかったけれど、がんが発覚してから2年くらい経ったとき、覚悟ができました。病院のホームページで私のがんの5年生存率が掲載されていて、自分が該当すると思ったのが「36%」。先生に「私、この数字ですか?」と聞いたら「ちょっと調べる」と言われ、スタッフの方を通して「おっしゃる通りの数字です」と教えてもらいました。ところが、後でわかったことなのですが、実際はもっと悪かったんです。私に生きる希望を持たせるための、医療者の愛だったのでしょうか。
だんだんと厳しい状態になっているのは、自分でも感じます。起き上がるだけでも大変なこともあり、反射的に倒れてしまうことも出てきました。そうしたことが重なると、嫌でも自覚せざるを得ません。
でも、自分の死を迎えることに、恐怖はありません。自分に残された時間の過ごし方の前提は、「自分の人生を生きる」ことです。人にあまり迷惑をかけないようにしながら、自分の生き方を全うしたい。やりたいことをやり尽くす人生でありたい。それができないのに、ただ生きていても仕方ないんです。

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