ゆりきゃんさんのSTORY がんを主役にするのはもうおしまい。「私」を主語に生きるために
ありのままの私が「かっこいい」
罹患当時、私は人材コンサル会社で働いていました。手術の際に2週間、抗がん剤治療を始めるとき半年間休ませてもらいました。ただ、治療は1年3カ月続き、休職期間が途中で切れてしまいました。当時の上司が会社に期間の延長を掛け合ってくれましたが、「特例をつくるのはよくない」などと議論になったようです。結局、延長は認められず、辞職せざるを得ませんでした。
抗がん剤治療中、家にいて何もすることがなかったので、インスタグラムを始めました。同じようにがん治療をしている人と、離れているのにつながれることが面白かった。いくつか写真を投稿しているうちに、自分自身の写真も撮って載せるようになりました。髪がどんどん抜けていく時期で、ほとんど髪がない状態の写真です。
あるとき、自分の写真にふと目がとまりました。ノーメイクで、まったく着飾っていない、素の私。それなのに、ただ、かっこよく思えたんです。
がんになる前は、自分の意思で人生を選択してきました。20代の頃に海外で過ごした経験もあります。だから、がんになったときは、「なんで私なんだろう」と、自分が病気になることが腑に落ちずにいました。
でも、抗がん治療中は、身体が思うように動きません。足が震えて、階段を下りるのもままならない。自由に動けない日々の中で、朝起きられること、空が見えること、子供に「おはよう」と言えること、その一つひとつに喜びを感じるようになりました。
自分の写真が「かっこいい」と思えた瞬間、私は、病気ごと自分を受け入れられたのだと思います。生きているだけで、私はすでに満たされている。「私のすべてのものを受け入れよう」という気持ちになりました。