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杉浦雅昭さんのSTORY 病気とともに訪れた「奇跡」。人生に“自分軸”を取り戻す

突然襲った運転できないほどの激痛

結局、父は手術から半年後に他界。そこから1年が経った頃、職場から車で帰る途中、お腹に激痛が走りました。キューッと締め付けられるような痛みでブレーキもアクセルもほとんど踏めず、ハンドル操作もままなりません。
なんとか路側帯に車を寄せてしばらく耐えていたら痛みが引き、その日は家に帰りました。しかし、どう考えても異常な痛みです。数日後に地元の市民病院で検査を受け、結果が出たのは約1週間後でした。
待合室に妻を待たせ、一人で聞いた検査結果は「大腸がん」。まったく信じられず、説明を聞いている間は、むしろ落ち着いていました。でもそのまま診察室を出て妻に「がんだったよ」と伝えたら、彼女は両手で顔を覆い、その場にうずくまったんです。「とんでもないことになった」。そのときようやく実感が湧いてきました。
思い返すと、腹痛が起きる前から兆候はありました。1年ほど前からときどき血便が出ていて、会社の健康診断でレントゲンを撮ってもらいましたが、結果は“異常なし”。痛みもなかったので、「キムチやトウガラシを食べたからだろう」と、深く考えませんでした。
それに、仕事の忙しさを言い訳にしていた面もあります。自動車の製造工場で管理業務に携わっていて、病気になる前は朝8時から日が変わるまで勤務することも珍しくありませんでした。食事もコンビニやラーメン屋で済ませる日々。そんな生活の中、自分の不調にちゃんと向き合っていなかったんです。

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